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女性ならではの視点を活かし、一人でも多くの人命を救いたい

救急・臨床工学分野
伊東 麻由(左)
救急救命学科 2016年卒
救急救命士
金澤 麻衣(右)
救急救命学科 2016年卒
救急救命士

夢はまず女性隊長将来に向かって経験を積んでいく(金澤 麻衣)

女性の救急隊員は、まだまだ少数派。だからこそ挑戦したいという思いもありました。体力では男性にかないませんが、高度な技術を身につけ、無駄なく動くことでカバーできるはず。その土台を築くため入職後、消防の訓練校で学んでいます。消火活動における資機材の取り扱いや消火訓練だけでなく、人命救助に必要な知識・技術とそれに耐えうる体力・精神力までを広く養う目的です。学生時代の授業で最も印象的だったのは、救急救命士としての礼節、規律を学んだこと。敬礼などの動作を厳しく指導され、当時は「どうしてこんなことを学ぶのだろう」と戸惑ったのですが、今思えば救急隊員の重要な基礎を学生時代に叩き込んでいただき、本当に良かったと思っています。

将来の目標は女性隊長。さらにその後、119番を最初に受け付ける消防司令センターに勤務することです。このセンターは電話の向こうでの訴えを的確にヒアリングし、重症度などの状況を瞬時に判断すると同時に、隊への指令を振り分ける部署。現場経験にもとづく、正確かつ迅速な判断力が欠かせない業務です。そのためにも今は様々な経験を積み、知識・技術はもちろん、自分の視野を広げていきたいと考えています。

学生時代に学んだ現場想定の実践授業が今活きている(伊東 麻由)

消防の訓練校では、約7キロもの重量がある防火服を着用し、消火ホースを担いで走ります。くじけそうになったときは、指導教官の「目の前の要救助者を助けられないことほど辛いことはない」という言葉を胸に、この苦しい訓練が誰かを助けるために欠かせない過程だと考え、乗り越えてきました。最初はできなかった動作も、今では体力が向上しコツを覚えたことで少しずつできるようになり、成長を実感するとともに、訓練が楽しくなってきました。ここでは現場を想定して臨機応変な対応力を身につける努力をしています。それは専門学校でも同じだったと思います。現場の第一線で活躍されていた先生が、教科書には載っていないことも含め、現場での対応の仕方や注意点などをリアルに指導してくださいました。学生時代に培った知識と技術があるからこそ、訓練にも素早く対応できる。それを今、身にしみて感じ、感謝しています。

この仕事はまだ男性中心ですが、女性の救急隊員も増えてきたと感じます。女性の傷病者や妊婦の場合、私たちのほうが気づかいも行き届くし、今後女性の活躍がより求められるのではないでしょうか。これから現場に出て、女性救命士だからできる貢献を続けていきたいと思います。

※卒業生会報誌「i(アイ)」19号(2016年11月発刊)掲載記事